あなたは、「御用聞き営業ではダメ! 提案営業でなければ!」と指導を
受けた ことはありませんか。
冷静に考えれば、御用聞き営業が悪いとは云えません。
お客様の要望に応えて自社の扱い商品を揃えて納期通りに納める。
これが御用聞き営業です。
信頼関係が出来あがっているのでお客様から注文がくるわけですから。
さらに、製造設備や管理体制がしっかりと出来上がっているのでお客様も
安心して発注しているわけです。
ただ新規開拓のことを考慮に入れると少し評価が変わります。
新規開拓の場合、ゼロからのスタートになりますから御用聞き営業を可能に
している信頼関係がありません。
飛び込み営業であろうと、紹介された訪問先であろうと信頼関係づくりから
始めなければなりません。
ですから御用聞き営業スタイルでは新規顧客の獲得が難しくなります。
とりわけ製造業での営業マンの新規開拓は、既存の取引先があるのでその壁を
クリアするには工夫が必要になります。
もっとも既存の取引先の存在は製造業だけに限りませんが。
ところで製造業では、製品開発と顧客開拓は常に取り組み続け
なければならない課題です。
顧客ニーズはさまざまで、それに応える製品もニーズと共に進化して
いくものです。 いつまでも同じグレードの製品を、いつまでも同じ
顧客に提供し続けることなど あり得ません。
そんなことをしていたら、会社の成長は止まり価格競争に耐え続け
なければなりません。
あなたの給料は据え置かれたままならまだ良い方で、
将来の夢など描けなくなってしまいます。
会社が営業マンに対して提案型営業を要求する最大の理由なんです。
提案型営業を実践するためには、専用の営業ツールが必要になります。
その営業ツールを駆使して顧客のニーズを聞き出し、ニーズを充たす
提案をすれば 良いのです。
ニーズに応える製品づくりや製品改良が製品開発につながっていきます。
ここに製造業での営業マンとしての醍醐味があります。
製造業の営業マンは、自社の製品がどんな所でどんな使われ方をされて
いるのか 知っていなければなりません。
提案型営業を実践するにあたり、その実績を営業ツールとして準備するのです。
さて、今あなたが使っている営業ツールは製品サンプルの一覧であったり、
生産設備の紹介だけの資料になってはいませんか。
これでは提案営業にはなりません。
ターゲット顧客はあまり関心を持ってはくれません。
信頼を得るまでには至りませんし、既存の取引先の存在を理由に具体的な
話までに 辿り着くこともありません。
製品とその製品の採用事例、採用した結果どんなメリットがあったのか、
この説明がされていない限り興味を示してはくれません。
提案営業のツールの準備にあたっては、各営業マンの営業報告がベースに
なります。
得意先ごとにどのような“相談や要望”があったか調べます。
ここ2~3年間の営業報告を調べます。
社内の営業情報が共有されていれば営業部門全員で調べられます。
情報が共有されていない場合は、各営業グループで作業するように
なります。後でまとめて営業ツールに仕上げます。
製品採用事例として
1.製品名
2.顧客の相談・要望内容
3.対応した方法と製品(実際に使われた箇所の写真があれば良いですね)
4.対応製品の評価と顧客の反応にまとめます。
最強の新規開拓用営業ツールとなります。
あなたは毎日の営業活動を報告していますよね。
その記録を読み返してみてください。
自社製品を採用してくれた時、得意先でどんなやり取りがあったのか。
顧客が困っていた時の課題をどうやって解決したのか。
採用事例をまとめてみると、
顧客の関心を惹きつける強力な営業ツールになります。
営業部門全体で共有できるものに仕上がると良いですね。